谷町九丁目・上本町の歯医者 藤井歯科

公益社団法人日本補綴歯科学会　第132回学術大会－設立90周年記念大会－に参加して

令和5年5月19日（金）～21日（日）にパシフィコ横浜で開催された公益社団法人日本補綴歯科学会　第132回学術大会－設立90周年記念大会－にWeb参加しました。
今回は、臨床リレーセッション2と専門医研修会を拝聴しました。この場にてご報告させていただきます。

臨床リレーセッション2は、東京歯科大学パーシャルデンチャー補綴学講座の教授でおられる山下秀一郎先生と東関東支部の田中譲治先生が座長をつとめられました。
タイトルは「テレスコープ義歯―臨床現場における有効な活用法を考えるーTelescopic denture –Considering effective use in clinical practice-」であり、福岡歯科大学咬合修復学講座有床義歯学分野の都築尊先生、九州歯科大学口腔機能学講座顎口腔欠損再構築学分野の槙原絵理先生、東京歯科大学パーシャルデンチャー補綴学講座の田坂彰規先生、以上３名の先生のご講演を拝聴いたしました。

都築先生は「リジットサポートの実現―リカバリー症例から適応症を再考するー」のタイトルで、部分床義歯は義歯の回転・沈下を抑制することが可能なリジッドサポートが原則であり、それを得るための設計のポイントをお示し下さいました。槙原先生は「マグノテレスコープの魅力について」のタイトルで、マグネットを併用したテレスコープを御紹介されました。
藤井歯科医院でも作製歴はありますが、高度な技術を応用する必要があり、そのポイントをご教授していただきました。田坂先生は「CAD/CAM技術を応用したダブルクラウン義歯」を提示されました。ダブルクラウン義歯はこれまで、熟練の歯科技工士が歯科精密鋳造で製作することが一般的でありましたが、近年ではコンピューターの支援を利用したCAD/CAMシステムが応用され、作業の効率化が図られているとのことでした。

専門医研修会は日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座の河相安彦先生と九州歯科大学口腔機能学講座顎口腔欠損再構築学分野の槙原絵理先生が座長をつとめられました。

タイトルは「補綴難症例に対する補綴歯科専門医の解決策を共有する　その2　睡眠時無呼吸症患者の治療The solutions for the challenging prosthetic cases;Part2;The patients with obstructive sleep apnea」で、鶴見大学歯学部クラウンブリッジ補綴学講座の重田優子先生、東京医科歯科大学大学院歯学総合研究科咬合機能健康科学分野の石山裕之先生、九州歯科大学顎口腔欠損再構築学分野の渡辺崇文先生、以上３名の先生のご講演を拝聴しました。
重田先生のタイトルは「睡眠時無呼吸症患者の画像的特徴」で、閉塞性睡眠時無呼吸症候群（以下、OSA）の男女間での内臓脂肪と皮下脂肪の量の違いによる画像所見のそれぞれの特徴や、気道周囲の脂肪蓄積や加齢に伴う上気道の形態的変化を動画像にて開示されました。

石山先生のタイトルは、「睡眠時無呼吸の口腔内装置療法―治療効果および副作用についてー」で、OSA患者が現在日本に400万～500万人いると推定されているが、治療中の人は40万人程度と少なく、多くの潜在的OSA患者が放置されているという現状をまず我々にお伝えされました。その上で、持続陽圧呼吸療法（CPAP）には治療効果が劣るものの、簡便でありアドヒアランス（治療に対する患者さんの賛同および積極的な治療への取り組み）の良好な口腔内装置療法（OSAマウスピースの作製：以下OA療法）をご紹介されました。
藤井歯科医院でも通常のマウスピースやスポーツ用マウスガードに加えて、OA療法としてのOSAマウスピースは多数作製しておりますが、改めて治療ポイントを確認するよい機会をいただきました。渡辺先生のタイトルは、「睡眠時無呼吸症患者をとりまく多職種連携について」であり、OA療法に必要な医療機関との連携についてご説明されました。現行の保険制度では、以下からOA製作依頼があった場合に限り、OAの製作が認められているため、呼吸器クリニックや病院との連携が必須となります。患者さんにもご理解いただくことが多いので、ご説明する際にあたり、我々も大変勉強になりました。

今後も学会等で得た知識を、少しでも皆様にご紹介させていだだこうと思っております。